中東問題に関する社説・コラム(2026年4月10・9・7・4・3・1日・3月31・29・28・27・25・24日)


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イランの首都テヘランで3月23日、破壊された住宅ビルでがれきを処理する消防隊員ら=AFP時事

「戦争によって、また戦争において…(2026年4月10日『毎日新聞』-「余録」)

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2週間の停戦合意を喜ぶイラン政府の支持者ら=テヘランで8日、AP
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2週間の停戦合意発表後、ホワイトハウス前でイランとの戦争に抗議する市民=ワシントンで7日、ロイター
 「戦争によって(・・・)、また戦争において(・・・)何を達成しようとするのか」。この問いに答えずして戦争を開始すべきではない。19世紀の軍事理論家、クラウゼビッツが「戦争論」に記している。戦争の目的と目標を指す
▲イランとの戦争はいつ終わるかと問われ「それを感じた時だ」と答えたのはトランプ米大統領だ。先達が聞いたらあぜんとしただろう。「直感に基づく戦争」(英BBC)なら目的も目標も二の次である
▲2月末の攻撃以来、イランの政権交代に期待を示し、ミサイルや核開発能力の破壊が目的だと強調してきた。しかし、イランの反撃でホルムズ海峡が事実上封鎖され、原油価格が高騰すると「海峡を開け」が最大の要求になった
▲パキスタンの仲介で2週間の停戦合意が実現した。イランが応じたのはこの間の海峡の安全航行だけ。「石器時代に戻す」と拳を振り上げたトランプ氏は「完全な勝利」と勝者を装うものの、イラン側も「偉大な勝利」を叫ぶ
▲「私は戦争を始めたりしない」と訴えて当選したトランプ氏だ。好戦的姿勢はベネズエラの「斬首作戦」成功に味を占めたともイスラエルのネタニヤフ首相に言いくるめられたともいわれる。急転直下の合意には支持率低下も影響しただろう▲2週間後に戦闘が再開しては元も子もない。戦争に消極的とされるバンス米副大統領が主導する10日からの交渉を見守りたい。「次はキューバ」と語るトランプ氏にも簡単に終わらない戦争の教訓をくみ取ってもらいたいものだが……。

アラビア太郎がささげた中東(2026年4月10日『山陽新聞』-「滴一滴」)

 田中角栄元首相の秘書官を務めた小長啓一さん(95)=備前市出身=の人生を語る上で、アラビア石油は外せない。通商産業省(現在の経済産業省)の事務次官を務めて退官後の1989年に入社し、後に社長に就いた
▼同社は60年、サウジアラビア、クウェート両国沖合のペルシャ湾で「カフジ油田」を掘り当てた。欧米の石油メジャーに頼らない「日の丸油田」のはしりである
▼会社を興したのが実業家山下太郎(故人)だ。日本の経済成長には、原油の安定調達が欠かせないと目を付けた
▼開発権益を巡る両国との交渉は簡単ではなかったようだ。不退転の覚悟で臨んだ山下は、自身をアラブ民族の一員にしてしまおうと心がけた。イスラム教の神アラーを祈り、アラブの人々と同じ食事を取った(高多(たかた)清在(きよあき)著「風雲児・アラビア太郎」)。誠実な姿勢で信用を得て「石油時代の到来を象徴する人になった」と小長さんは言う
▼山下が人生を懸けた中東で、米国とイランが2週間の停戦で合意した。だが、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の安全通航など、日本への輸入が元通りになるかはまだ見通せない
▼石油製品に支えられる暮らしへの影響がやはり気がかりだ。先日行ったスーパーには、ポリ袋は店頭在庫のみで入荷は未定と掲示されていた。できることから、省エネに努めるとするか。

米トランプ大統領「狂気の沙汰」を止めるのは誰か?(2026年4月10日『日刊スポーツ』-「政界地獄耳」

★戦闘開始から5週間余り。7日、米ドナルド・トランプ大統領はイランと2週間の停戦で合意したことを受け、フランスAFP通信のインタビューで米国が「完全かつ全面的な勝利。100%だ。この点に疑問の余地はない」と発言したが、そう思ってるのはホワイトハウスだけではないのか。イースター(復活祭)の5日朝には「クソッタレの海峡を開けろ、狂った野郎ども。さもないと地獄に落ちるぞ」と書き、7日には「文明全体が今夜滅び、2度と復活することはないだろう。そうなってほしくはないが、おそらくそうなる」と警告、いやどう喝した。ローマ教皇レオ14世は同日「イラン国民全体に対する脅威があった。これは到底容認できるものではない」「確かに国際法上の問題もあるが、それ以上にこれは(世界の)人々の幸福のための道徳的な問題だ」と異例の発言を行った。
★ところが停戦破りはあっさりと始められた。仲介に入ったパキスタンは条件に入っているというが、イスラエル軍はレバノンは停戦の条件に含まれないと主張し、全土に最大規模の攻撃を始めた。ピート・ヘグセス国防長官は2日、ランディ・ジョージ陸軍参謀総長を「即時発効で職を退く」と解任。同時に陸軍変革・訓練司令部のデビッド・ホドネ大将と従軍牧師隊のウィリアム・グリーン・ジュニア少将も更迭された。ヘグセスはこの1年でチャールズ・ブラウン統合参謀本部議長、リサ・M・フランケッティ海軍参謀総長、ジェームズ・スライフ空軍副参謀総長を解任し、国防情報局(DIA)のジェフリー・クルーズ局長を更迭。ヘグセスにイラン攻撃の正当性への疑問を具申したが、軍の法的な適正さを示すための専門官らを排除してきた。
★命令が絶対の軍においてむしろ、軍が法を守るための最後のとりでだったといえる。ワシントンでは「この狂気の沙汰」について大統領が職務遂行不能になった場合、特に病気の場合の継承を定めた合衆国憲法修正第25条の発動がささやかれ始めている。その大統領に好かれることが主眼のどこかの首相も官邸や議会、党で同様の振る舞いを続けていて四面楚歌(そか)との報道が絶えない。外交的にも世界の中の日本の役割を、官邸が台無しにしている。

米国とイランが即時停戦で合意した。本当に…(2026年4月9日『河北新報』-「河北春秋」)

 米国とイランが即時停戦で合意した。本当に守られるのか。いつまで続くのか。心配の種は尽きないが、まずは良かった。市場にも安心感が広がっている。株価は急騰して、原油相場は急落した
▼戦時下とはいえ、トランプ米大統領の言葉は過激を極めた。「文明が滅びる」「石器時代に戻る」「彼らは動物だ」「狂った野郎ども、地獄で暮らすことになるぞ」。言動の先に起きる悲劇を考えると到底容認できない
▼イラン攻撃では多くの市民が命を落とした。南部ミナブの女子小学校が爆撃され、児童ら約170人が死亡した事件はとりわけ痛ましい。停戦となっても米国憎しの機運は収まるとは思えない
▼抑圧された人々の物語を書き続けた作家船戸与一は豊浦志朗の名で『叛(はん)アメリカ史』を記した。白人の侵略に抵抗する先住民族の首長ジェロニモにこう言わせる。「復讐(ふくしゅう)のためなら鬼にでも蛇にでもなるぜ。それでもおまえらのやってきたことの千万分の一にもあたらない」
▼イランを訪れた人は、敬虔(けいけん)なイスラム教徒であるイラン人のホスピタリティーの高さを異口同音に語る。旅人に優しく、とイスラムは教える。「正当な報復」もその教え。攻撃開始以来、イラン全土に無数のジェロニモが生まれたはずだ。復讐の連鎖は終わるのだろうか。
停戦(2026年4月9日『長崎新聞』-「水や空」)

「次がお前の最期の日だ。必ずぶちのめしてやる」「黙れ、こっちのセリフだ。入院先を予約しておけ」-リング上の2人が凄味(すごみ)たっぷりにののしり合う。レスラーたちの「マイクパフォーマンス」はプロレスのお楽しみの一つ
▲そんな暴言合戦でもなかなか聞いたことのないあきれたワードセンスだった、とつくづく思う。イランを「石器時代に戻してやる」とすごんでみせた数日前のトランプ米大統領
▲全ての文明を破壊する-と言うのだ。感情の赴くままを言葉にしてしまう人だ。公人として、世界の指導者として、言っていいことと悪いことがある…という抑制とも自己規制とも無縁の人
▲その米国とイランが「即時停戦」に合意したと仲介役のパキスタン首相が発表した。〈ホルムズ海峡の開放を条件に攻撃を2週間停止する〉とトランプ氏。イラン側も「海峡の安全な通航」に同意していると伝えられる
▲トランプ氏の胸中を株取引の「損切り」になぞらえた読み解きがある。ここまでの収支はマイナスだが粘っても好転が望めない、と傷が浅いうちに取引を手じまいにする判断のことだ。何はともあれ停戦は歓迎したいが先行きの不安は晴れない
▲次の大統領選はいつだったか、とつい考える。他国の指導者の退場を指折り数えて待つ日々が当分続く。(智)

米イラン即時停戦合意 恒久終戦への努力重ねよ(2026年4月9日『琉球新報』-「社説」)

 米国とイランが即時停戦することで合意した。トランプ米大統領は、イランが事実上封鎖するエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡を開放することを条件に、攻撃を2週間停止すると表明した。イスラエルも攻撃停止に同意した。
 イラン側によると交渉期間は最長15日間。10日から始まる交渉で、海峡の通航に関する取り決めや制裁解除、中東の基地からの米軍撤退などを協議する。恒久的な終戦に向けた努力を米イラン両国に強く求めたい。
 イランは軍の調整の下で海峡の安全な通航が2週間可能になるとしている。日本政府によると、6日時点でペルシャ湾内に日本関係船舶は42隻停泊している。停戦合意の報を受け、原油価格も急落した。待機船舶が海峡を通航して日本に石油などが従来通り届くようになれば、ガソリン価格の安定や石油製品の安定供給が期待できる。
 マーケットも即時停戦を歓迎している。この間、トランプ氏が交渉期限をたびたび先延ばしにするなど対応の変化に反応して株価は乱高下していた。それが即時停戦のニュースで日経平均株価は一時2800円超高になるなど急騰した。日本を含め、世界の暮らしの安定のためにもこの状況を続けてもらいたい。
 今回の合意について、イラン最高安全保障委員会によると、トランプ氏がイランが提示していた10項目の案を交渉基盤として受け入れたためと主張している。イスラエル首相府は、イランの核やミサイルの脅威を阻止するという目標を米・イラン交渉で達成するとの説明を米側から受けたと主張している。それぞれの主張をどこまで満たすことができるのか、容易な交渉ではないが、世界は期待を込めて注視している。
 国際法が禁じる「戦争犯罪」に該当し得る発電所や橋の破壊警告を掲げたトランプ氏としても自縄自縛となり、出口が見通せない状況となっていた。米国内の中間選挙への影響もにらんで、停戦への判断を選択せざるを得なかった事情もあるだろう。停戦を機に、さらに終戦に向けて決断してもらいたい。
 米国とイスラエルによるイラン攻撃に対して、米国の国際法専門家らが「国連憲章に明確に違反し、戦争犯罪に当たる恐れがある」と指摘した。イランによる差し迫った脅威があるという証拠もないとして米・イスラエルの先制攻撃を指弾した。日本政府は、戦争終結への働きかけと同時に、米国に対しても毅(き)然(ぜん)とした態度で攻撃の責任を追及しなければならない。
 高市早苗首相は停戦合意後、イランのペゼシュキアン大統領と電話会談した。高市氏はこれまで「(米・イラン)双方に早期沈静化の重要性を訴える」と強調してきた。終戦に向けた米・イラン交渉においても、イランと友好関係を保ってきた日本ならではの役割があるはずだ。

緊迫の中東情勢 攻撃拡大でなく対話を(2026年4月7日『朝日新聞』-「社説」)

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4月3日、米イスラエルとの戦争で、空爆により破壊されたイランの首都テヘラン郊外の橋=ロイター

 中東の緊張は危険水域に達している。国際法が禁じる民間施設への攻撃合戦に歯止めがかからなくなれば、国際社会への影響はさらに深刻化する。紛争の激化を阻止する努力を急がねばならない。
 トランプ米大統領は、日本時間8日朝までにイランが米側との合意やホルムズ海峡の開放に応じない場合、「地獄で暮らすことになる」と主張した。発電所や橋を攻撃すると繰り返し警告している。
 米軍はすでに「イラン最大の橋」を空爆した。イスラエルも攻撃対象を軍事目標から経済基盤に広げている。さらに大規模な攻撃に踏み切れば、これまでと同様イランが米軍基地を置く湾岸アラブ諸国の製油所や港湾などに報復するのは必至だ。
 復旧には年単位の時間がかかるだろう。ホルムズ海峡の封鎖が解かれても、湾岸諸国からの石油や天然ガスなどの供給が長期間停滞することは避けられない。
 トランプ氏は何度か「最後通告」を延期してきた。短慮に走ってはならない。
 極めて憂慮されるのは、原発が攻撃にさらされていることだ。国際原子力機関(IAEA)によると、イラン南部のブシェール原発付近に4日、飛翔(ひしょう)体が着弾し1人が死亡した。攻撃は開戦後4度目だという。
 放射線レベルの上昇は報告されていないというが、運転に関わるロシア国営原子力企業ロスアトムは技術者約200人を退避させた。
 トランプ氏はイランが「すべての発電所を失う」と主張しているが、原発を狙うことは絶対に許されない。もし放射能漏れが起きれば、トランプ氏の肝いりでイスラエルと国交を正常化したアラブ諸国への影響は計り知れない。
 過去にイラクとシリアの原発を攻撃したイスラエルにも自制を促す必要がある。原発で働くロシア人に犠牲が出れば、戦争の構図がさらに複雑化しかねない。
 100人を超す米国の国際法専門家は、今回のイラン攻撃が国連憲章に違反し、戦争犯罪に当たる疑いがあるとの声明を出した。大義なき戦争に振り回される国際社会は事態の打開に動くべきだ。
 日本や欧州、湾岸諸国など40カ国以上の外相はホルムズ海峡の再開に向けて協議したが、戦争を終わらせなければ問題は解決しない。
 米イラン双方の主張の隔たりは大きいが、まずは対話を仲介することが重要だ。その前提は米イスラエルが攻撃を止めることであり、各国が協調して直ちに、強く、働きかけるときだ。

「ジェット爆撃機に乗った穴居人」…(2026年4月7日『毎日新聞』-「余録」)

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アメリカの北爆停止を伝える毎日新聞の張り出し号外=大阪市北区で1968(昭和43)年11月1日撮影
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国民向け演説で「イランを石器時代に戻す」と語ったトランプ米大統領=ワシントンのホワイトハウスで2026年4月1日、ロイター
 「ジェット爆撃機に乗った穴居人」。ベトナム戦争で北爆を指揮した米空軍のルメイ将軍はこう呼ばれた。回想録に北ベトナムを「石器時代に戻す」と記したことを皮肉られた。力で相手をねじ伏せようとする精神構造の方が古いというわけだ
▲ベトナム戦争を舞台にした巨匠コッポラ監督の大作「地獄の黙示録」(1979年)にも「爆撃で石器時代に戻す」というセリフがある。米国の敗北につながった「力の過信」を象徴的に示す言葉とされてきた
▲ベトナムをイランに変えたリバイバル。トランプ米大統領が「石器時代」に言及した。イランが取引に応じなければ、発電所や橋などを攻撃するという脅しだ
▲復活祭の5日にはSNSに「××海峡を開放しなければ、地獄を見るぞ」と投稿した。欧米のメディアがそろって「悪口雑言」と指摘した汚い表現である。撃墜された米戦闘機の乗員救出で高揚したのではという分析もあるが、品格や理性を疑う声が渦巻く
▲「火曜は発電所、橋の日」という。米東部時間7日夜、日本時間8日朝を指すらしい。生活インフラの攻撃は国際法違反。爆撃の下にいる民衆の苦しみに想像力が及ばないとすれば、東京大空襲の指揮官でもあったルメイ氏と重なる
▲「技術面で圧倒的優位に立っているという信念がいかに政策決定者の判断を誤らすか」。泥沼のベトナム戦争に突き進んだ米政権の内幕を描いた「ベスト&ブライテスト」の著者、ハルバースタム氏の言葉だ。同じ轍(てつ)を踏むことにならないか。

イランで撃墜された米軍機乗員の救出劇はまるで映画のようにスリリング(2026年4月7日『産経抄』-「産経抄」)

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F15E戦闘機=2017年、米カリフォルニア州(AP=共同)
 イスラム革命後のイランで1979年11月、学生たちが米大使館に押し入り多数の外交官を人質にした。人質全員が解放されるまで400日以上を要した。
▼実は事件当日、6人の職員が脱出しカナダ大使公邸に逃げ込んでいた。もし見つかれば6人はもちろん米大使館の人質も危ない。米中央情報局(CIA)の人質奪還を担当する工作員は奇想天外な作戦を立案する。
▼イランを舞台にしたSF映画の製作をでっちあげ、6人を撮影スタッフに見せかけて出国させるというのだ。2012年に公開されたハリウッド映画「アルゴ」は実話をもとにしていた。アカデミー賞の作品賞などに輝くが、イラン側の激しい反発も招いた。
▼イランで撃墜され行方不明になっていたF15E戦闘機の乗員は無事だった。乗員は戦闘機を脱出後、重傷を負いながらピストルだけを武器に山岳地帯に身を潜めていた。米軍は特殊作戦部隊を含む約200人を動員して救出に向かった。CIAはイラン側の追跡を妨害するため「乗員はすでに発見され、陸路で国外に向かっている」などの偽の情報を流した。
▼脱出用に米軍が用意した輸送機が機能不全となるアクシデントもあった。CIAと軍が最終的にどのように乗員の居場所を特定したのかは、明らかになっていない。まさに映画さながらのスリリングな救出劇だった。乗員の冷静かつ豪胆な行動とCIAと軍の周到な作戦をたたえたい。
▼米国ではトランプ大統領の支持者の間でさえ、厭戦(えんせん)気分が高まっていた。トランプ氏は今回の救出劇を戦意高揚のために最大限に利用するはずだ。一方イラン側に米側が要求するホルムズ海峡の開放に応じる気配はない。戦争のエンドロールは一体いつ流れるのか。

イランへの空軍派兵 日本の立場 協議で伝えよ(2026年4月7日『琉球新報』-「社説」)

 明らかな国際法違反と指摘される軍事作戦への在沖米軍派兵を、基地を提供する日本政府は黙認したままでいいのか。米側にただちに協議の場を要求し、戦争に関与しないという日本の立場を明確に伝えるべきだ。
 米軍嘉手納基地を拠点とする第18航空団司令官のジョン・ギャレモア准将は3日、「米軍放送網」(AFN)で、第18航空団の隊員が対イラン軍事作戦を担う米中央軍の作戦支援のために派遣されていることを明らかにした。
 軍事作戦の開始直後からキャンプ・ハンセンに司令部を置く第31海兵遠征部隊(31MEU)、うるま市のホワイトビーチに寄港する米海軍佐世保基地(長崎県)配備の強襲揚陸艦トリポリなどが相次いで派遣されている。今回、明らかとなった空軍の派兵を含め、在沖米軍は自由に基地を運用し、日本から人員や航空機を中東へと向かわせている。紛争当事国のイランは基地を提供する日本が戦争に加担していると見るだろう。
 ギャレモア司令官は、正確な派遣先は言及しなかったが「嘉手納基地に配属されている隊員、あるいはその家族が危険にさらされている」とも述べた。
 隊員や家族を気にかけたが、出撃地の嘉手納が「標的」にされる可能性も想定しているのであれば許し難い。基地周辺に住宅地が広がっていることを司令官は認識しているのか。日本政府は県民の不安を直視し、発言内容について米側にただすべきである。
 そもそも、日本側に通告のないイランへの派兵は日米安全保障条約に反するものだ。条約は在日米軍基地を戦闘作戦で使用する場合、日本政府との「事前協議」を求めている。ところが茂木敏充外相は3月17日の国会答弁で、事前協議の要請が米側からなかったと明らかにした。
 玉城デニー知事は6日、在沖米軍基地からの派兵を巡り「どのような状況でも日米安全保障体制の協議事項である」との認識を示した。県民の生命を守る立場として当然の認識だ。安保条約に基づく規定を逸脱するような基地の自由使用に歯止めをかけるためにも、米側に事前協議を要求し、派兵に反対すべきだ。
 これまで、米軍は湾岸戦争やイラクやアフガニスタンなど、中東の紛争地域に、在沖米軍基地から派兵を繰り返してきたが、事前協議が開催されたことはない。日本政府も協議を求めないまま派兵を黙認してきた。この間、米軍の活動範囲を定めた安保条約6条の「極東条項」は完全に有名無実化したといってよい。このような安保条約からの逸脱を放置してよいのか。
 オーストリア、スペイン、スイスは対イラン作戦に従事する米軍機の領空通過を拒否している。トランプ米大統領に振り回され、自由な派兵を追認する日本との落差は大きい。主権国家としての姿勢が日本政府に問われている。

「平和はトランプ大統領にかかっている」外交から外れズレている指導者(2026年4月7日『日刊スポーツ』-「政界地獄耳」)

★「大国は自国の安全を確保する最善の方法は、今すぐ覇権を獲得し他の大国による挑戦の可能性を排除することだ。自国が生き残るのに十分な力を既に持っていると考え、システムの中でヘゲモニーを握る機会を逃すのは、見当違いの国家だけ」と記した「大国政治の悲劇」の著者で、攻撃的現実主義提唱者の元米空軍将校、シカゴ大・ジョン・ミアシャイマー教授。4日に「もし今日ニュルンベルク裁判のような裁判が行われたら、トランプとネタニヤフは有罪判決を受け、絞首刑に処されるだろう」と述べた。
★昨年末、教授は「イランが正面衝突で米軍を打ち負かすことは不可能だが、米国はベトナム戦争やアフガニスタン戦争と同様、すべての戦闘に勝利しながら最終的に戦争に敗北する構図を繰り返している」と指摘。先月、中国の国営メディア「中国グローバルテレビジョンネットワーク(CGTN)」のインタビューでも「イランがこの戦争に勝つために必要なのは『生き残ること』だけだ。生存しつつ、イスラエルや米国、そしてアラブ世界における両国の同盟国を攻撃し続けることである。さらにホルムズ海峡の封鎖を継続すれば、中東だけでなく世界規模で大きな混乱を引き起こすことができる。したがって短期決戦に失敗し持久戦へと移行した時点で、米国はすでに困難な状況に直面している」とした。
★5日、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はイランのアッバス・アラグチ外相との電話会談で「米国が『最後通告』を突きつけるやり方はやめるべき、交渉の道に戻ることが必要」と米国に忠告した。6日の参院予算委員会で首相・高市早苗は、その最後通告について「大変緊迫した、厳しい状況にある」としたが、野党から「日米首脳会談でトランプ大統領に、いわば、こびを売るようなことも繰り広げたのではないかという厳しい批判も、報道も含めてたくさんある」と指摘されると「平和を、繁栄を取り戻せるのはトランプ大統領だけだと。つまり、トランプ大統領にかかっている」と説明。世界が1つの方向に向かいだす中、外交から外れズレている指導者がひとりいる。

トランプ氏イラン演説 米は戦闘終結の道筋示せ(2026年4月6日『琉球新報』-「社説」)

 いつまで無謀な攻撃を続けるのか。米国は一刻も早く戦闘を終結すべきだ。
 トランプ米大統領は1日、イランに対する軍事作戦について演説した。「核心的な戦略目標はほぼ達成している」と述べ、今後2~3週間「猛攻撃をかける」と宣言した。戦闘終結に向けた道筋は何ら示されなかった。
 イラン攻撃後、国民向けの初の演説は無責任な「勝利宣言」に終わった。戦闘終結に向け意思表示があるのではないかという期待を裏切るもので、失望を禁じ得ない。国際社会は身勝手なトランプ氏の態度を許してはならない。
 イランへの先制攻撃は明らかな国際法違反だと指摘されてきた。2月末の攻撃に際してトランプ氏が発した「イランという凶悪な集団による差し迫った脅威を排除し、米国民を守ることだ」との声明は正当性に乏しく、国際社会も懐疑の目を向けてきた。
 米国内でも厳しい批判が出ている。米国の国際法専門家ら100人余は「攻撃は国連憲章に明確に違反し、戦争犯罪に当たる恐れがある」とする声明を発表。米政権に国際法の順守を求めたのである。
 トランプ氏はこれらの批判を受け止めるべきでないか。いつまでも国際社会に背を向けることは許されない。
 そもそも、イランを攻撃した米国の大義は当初からなきに等しいのである。
 攻撃が始まった2月末、核開発問題を巡り米とイランは協議を続けていた。イラン側が合意に向けて譲歩を示しているとも伝えられていたのに米国が攻撃に踏み切った。トランプ氏が主張する「凶悪な集団による差し迫った脅威」は存在するのか疑わしい。
 今回の演説でトランプ氏はイラン軍が機能不全に陥り「核爆弾の製造能力は奪われている」と語った。イランは「もはや脅威ではない」とも語っている。核兵器を保有させないという攻撃目標が達成されたなら「猛攻」をかける必要はないはずだ。
 一方で、イランはタンカーが往来する要衝ホルムズ海峡を封鎖する能力を維持しており、トランプ氏が「望ましいのはイランの石油を奪うことだ」と発言している。
 一体、何のための先制攻撃だったのか。トランプ氏がこのような態度を続けるならば、一層国際社会から孤立を深める。戦闘が泥沼化する前に停戦の道筋を明確に示すべきではないか。
 今回、在沖米軍から第31海兵遠征部隊約2500人が中東に派遣され、嘉手納基地を拠点とする第18航空団の隊員も派遣されたことが明らかになっている。沖縄の米軍基地が中東と直結している。
 日本政府は、トランプ氏が始めたこの戦争に対し、いまだ明確な法的評価を示していない。日本は各国と協力して、米国とイスラエルに早期の停戦を求めるべきだ。高市首相にはリーダーシップを発揮してもらいたい。

イラン情勢手詰まり 地上戦は最悪事態招く(2026年4月6日『沖縄タイムス』-「社説」)

 攻撃の応酬が続くイラン情勢は、パキスタンによる交渉仲介が行き詰まり、地上作戦は避けられないとの観測が強まりつつある。
 「イランの空軍は壊滅した」。トランプ米大統領が国民向けの演説で成果を強調したその2日後、米軍のF15E戦闘機がイランに攻撃され、墜落した。A10攻撃機も被弾し、近隣のクウェートに移動した後、墜落したという。行方不明だった乗員は米軍によって救出された。
 米国とイスラエルによるイラン攻撃の「特異性」は、宗教色の強さである。
 米国家テロ対策センターのケント所長は、トランプ氏の攻撃開始を「イランは差し迫った脅威ではない」と真っ向から批判して辞任。
 「イスラエルと米国内のロビー活動から圧力を受けて戦争を始めたのは明らか」だと公開書簡で主張した。
 キリスト教福音派などの岩盤支持層に支えられているトランプ政権は、特定の宗教によって軍事作戦を正当化する言動が目立つ。
 十字軍のシンボルである「エルサレム・クロス」のタトゥーを胸に刻んでいるヘグセス国防長官は、宗教の教義を持ち出してイラン攻撃を正当化する。
 合衆国憲法修正第1条は政教分離を定め、信教の自由を保障しており、軍高官の言動を疑問視する声が軍内部から上がっている。
 ローマ教皇レオ14世はバチカンでの集会で現状を憂慮し、外交での解決を図るよう訴えた。
■    ■
 イラン攻撃の「特異性」は、ホワイトハウスの公式アカウントにも見られる。
 任天堂のゲームにあるテニスやボクシングなどのシーンを、イラン攻撃とみられる実写映像とつなぎ、戦果を誇示する動画を公開したのだ。
 湾岸戦争の時にも精密誘導爆弾のカメラ映像が茶の間に流され、「テレビゲームのような戦争」だと言われた。
 だがそれよりもはるかにゲーム的で、爆撃で死んでいった人々の視線がまったくない。
 このような映像をホワイトハウスが流すこと自体、道徳的退廃というしかない。
 2月28日の奇襲攻撃以来、トランプ大統領の発言には一貫性がなく、出口戦略もあいまいなままだ。
 その言動に対するイラン側の不信感は根深く、米国との協議に応じる姿勢を見せていない。
■    ■
 中東には、沖縄に駐留する第31海兵遠征部隊が、佐世保基地の強襲揚陸艦トリポリとともに派遣されている。
 嘉手納基地からも第18航空団の要員が作戦支援のため派遣された。
 地上作戦が始まれば、事態はさらに混迷の度を深める。原油価格の高騰はすでに日本をはじめ多くの国々の住民生活を直撃しているのである。
 新たな攻撃を何としても止めなければならない。高市政権は停戦に向けた外交努力をもっと強めてもらいたい。

石油利用の抑制/無理ない範囲で始めねば(2026年4月4日『神戸新聞』-「社説」)

 中東情勢の好転が見通せず、石油の供給不安が長引くのに備え、政府はきのう、石油需要を抑える政策の検討に入った。
 日本の石油備蓄量は約8カ月分、254日分と世界最大級の水準にある。イランによるホルムズ海峡の事実上封鎖の長期化を見越して3月中旬から備蓄の放出を始め、5月にも追加放出を検討する。政府は代替策として中央アジアや中南米からの原油調達も模索し、「直ちに供給不安に陥る心配はない」と強調していたが、需給は逼迫(ひっぱく)するばかりだ。
 需要を抑制せねば価格高騰に歯止めがかからず、国際エネルギー機関(IEA)は各国に節約を呼びかける。国内では自民党や経済界からも利用抑制を求める声が出始めた。約200日分の備蓄がある韓国も、公用車の使用制限などに踏み切った。
 現状のペースで放出が続けば、年内にも日本の備蓄は底を突く。政府はその点を踏まえ、石油確保に万全を期さなければならない。
 米国とイスラエルによるイラン攻撃が2月末に始まって以来、政府の打つ手は目先の安心を国民にアピールすることばかりに傾き、大局観を欠く。3月19日に再開したガソリン補助金は一例と言える。
 全国平均で1リットル当たり190円を突破した価格は、補助金で170円台まで低下した。むしろ使用を促すような動きで、供給との不均衡に拍車がかかる。財政負担は週に1千億円に達し、財源となる基金はいずれ枯渇する。新たな財政リスクを招きかねない。
 国民に利用抑制を求めれば、危機感をあおって買い占めなどにつながる可能性もある。政府がこれまで及び腰の姿勢だったのは一定、理解できる。しかし事態が深刻化してから取り組むのでは、抑制策も厳しい内容になり社会活動に混乱を招く。現時点ではガソリンを中心とした節約に絞る考えだが、公共交通の利用や残業削減を促すなど無理のない範囲から始める必要がある。
 備蓄量の少ない東南アジア各国の状況にも注視が必要だ。日本企業の資材調達先はアジア各国に及ぶ。原油の利用が制限されて事業が滞る展開になれば、日本国内の石油供給が従来通りであっても経済活動は阻害される。プラスチック製品や医療資材の材料となるナフサなど、石油由来の資材確保も欠かせない。
 スマートフォンやパソコンなどのIT機器に加え、データの処理に膨大な電力を費やす対話型生成人工知能(AI)も国民生活に浸透しつつある。エネルギーが無尽蔵に存在することを前提にしたような社会の在り方を、私たちもいま一度見直す契機としたい。

予測市場に見るイラン情勢(2026年4月4日『山陽新聞』-「滴一滴」)

 選挙結果などを予想して取引する「予測市場」が米国で広がっている。大統領選の予想はメディアの調査より当たるとも言われ、米国民の本音を知る手掛かりになる
▼市場で扱われるテーマは多岐にわたる。6月に北中米3カ国で開幕するサッカー・ワールドカップで、ある予測サイトは優勝候補の筆頭にスペインを挙げている。日本が入る1次リーグF組は、オランダに次いで日本の人気が高い
▼先月開幕した大リーグでは、今季もドジャースのナ・リーグ優勝が有力視され、最優秀選手は大谷翔平選手が本命だ。日本人としてはうれしい数字が並ぶ
▼一方で、イラン情勢は悲観論が大勢を占める。船舶が自由に航行できなくなっているホルムズ海峡に関しては、4月末時点でも「封鎖が続く」との予想が大多数だ。原油価格は1バレル=120ドルを超えるとの見方が強い
▼トランプ米大統領は先日の国民向け演説で、対イラン軍事作戦について「かつてない勝利を収めている」と胸を張った。ただ、ホルムズ海峡の航路の安全は、原油の輸入国が自ら確保するよう求めた。後始末は他人任せということか
▼同じサイトによると、今秋の米議会中間選挙は下院が野党の民主党優勢。共和党が先行していた上院も、今や数字が拮抗(きっこう)している。予測市場にも、トランプ氏に失望する米国の空気が漂っている。

イラン情勢の緊迫化 軍事的威嚇より停戦の道を(2026年4月3日『河北新報』-「社説」)

 世界各国が切望しているのは停戦協議の進展であり、戦争の泥沼化ではない。米国、イスラエル、イランはいずれも軍事力の誇示ではなく、誠意ある交渉で一日も早く事態の収束を図るべきだ。
 トランプ米大統領は日本時間のきのう、国民向けの演説でイランに対する軍事的成果を強調し、今後2~3週間以内に激しい攻撃を加える方針を明らかにした。一方で、戦闘終結の時期や停戦への具体策は示さなかった。
 イラン情勢を巡るトランプ氏の発言は、二転三転している。政権の支持率低下に加え、11月に控える連邦議会選挙(中間選挙)が影響しているに違いない。米首領の発言は、市場や当事国の対応を大きく左右する。国内政治日程も絡む中、真意を冷静に見極める必要がある。
 トランプ氏は3月末にも、交流サイト(SNS)に、停戦協議が進展しなければイランの油田や発電所、原油積み出し拠点のカーグ島など、エネルギー施設を全面的に破壊すると投稿した。
 ホルムズ海峡の封鎖が続けば海水淡水化施設も攻撃対象になり得ると威嚇し、強硬な姿勢を公然と示した。インフラ設備攻撃への言及は、地域住民の生活や国際経済への影響を顧みない発言と言わざるを得ない。
 実際、米国防総省は海兵隊や陸軍精鋭部隊などの中東派遣を決定し、最大1万人規模の追加派遣も視野に入れているとされる。
 要衝の島々の制圧を含む地上戦が現実のものとなれば、戦闘の長期化は避けられまい。短期決着を前提とした軍事行動が、過去に幾度となく破綻してきた教訓を忘れてはならない。
 さらにトランプ氏は、海峡の封鎖解除に協力しない国々に不満を示し、「米国は助けない。自分で石油を取りに行け」と突き放す姿勢も見せた。世界のエネルギー輸送の要衝が封鎖されたまま、軍事作戦を終える可能性を示唆したとの報道もある。
 中東産原油への依存度が高い日本を含む多くの国々にとって、極めて深刻な事態をもたらす無責任な態度と言うほかない。米国は、戦争費用の一部をアラブ諸国に負担させる考えも表明している。地域に新たな緊張が生じており、容易に理解は得られまい。
 一方で、パキスタンなどが仲介する協議に「進展がある」とも述べ、外交交渉の余地を残す。しかし、軍事的威嚇と停戦交渉を並行させる「圧力外交」が奏功する保証はない。威嚇の圧力が増せば、むしろ不信と対抗措置を招く危険性の方が高い。
 中東での交戦は既に1カ月以上に及び、民間施設への攻撃や海上輸送への脅威が各国の経済に影を落としている。必要なのは軍事的選択肢の拡大ではなく、第三国の仲介や国際的枠組みを活用した粘り強い対話である。

暮らし見直す契機(2026年4月1日『福島民報』-「社説」))

 米国とイスラエルによるイランへの攻撃で中東情勢は緊迫化し、日本経済は混乱の度合いを強めている。政府はガソリン補助金の支給再開などで国民生活と企業活動を下支えしているが、紛争終結の見通しが立たない中、インフレ加速や財政悪化の懸念も高まっている。今、一人一人がわが国のエネルギー供給体制のもろさを改めて認識し、暮らしの在り方を見直す時期にあるのではないか。
 紛争は、デフレを抜け出し、投資と消費の好循環に乗りかけた日本経済に冷水を浴びせかけた。輸入原油の大半を中東産に頼る産業界には大打撃で、影響は化学、自動車、運輸などに加え、農林水産業にも及ぶ。一時は6万円台をうかがう勢いだった日経平均株価は5万円台付近に値を下げ、貿易赤字拡大への懸念から円安が進む。インフレと景気悪化の同時進行を恐れる言説も現れ始めた。
 政府はガソリン価格の上昇を抑える補助金支給を再開し、事業者・農業者向けの軽油・重油も対象に加えた。戦闘終結に向けた動きが具体化しなければ、新型コロナ禍期と同様に企業活動と国民生活への支援策検討が視野に入ってくるだろう。しかし、国債など「国の借金」が年々増大し、昨年末で過去最大の1342兆1720億円に上っているという厳しい現実も忘れてはなるまい。今、政治に求められているのは、真に後押しを必要としているのは誰かを見抜く力と言えよう。
 15年前に起きた東京電力福島第1原発事故では、大量生産と大量消費を支える国のエネルギー事情が盤石とは言い難い現状が露呈した。国連のSDGs(持続可能な開発目標)は「つくる責任、つかう責任」をうたい、資源の有効活用を求めている。本県に根付く「までい」の言葉と響き合う。持続可能な暮らしとは一体何か、もう一度思い巡らせよう。車を置いて、職場まで歩いてみる。過剰な包装は慎み、ごみや食べ残しを減らせば化石由来の燃料削減にもつながる。遠い戦火はその契機となる。
 「国が国民に何をなすかでなく、国民が国に何をなすかを問え」との名言がある。小さな場所から、大きな財布のやりくりを考えたい。次代の負担を減らす努力を惜しんでならない。

在日米軍の派遣 政府は拒否の意思を示せ(2026年3月31日『信濃毎日新聞』-「社説」)

 米国がイランへの地上作戦に備えて中東に戦力を集結させる動きが急だ。在日米軍が派遣され、佐世保基地を拠点とする強襲揚陸艦と、沖縄駐留の海兵隊部隊が周辺海域に到着した。
 先立って、横須賀基地に所属するイージス艦が攻撃に加わってもいる。いずれも、本来は必須であるはずの日本政府との事前協議はなかった。にもかかわらず、知らぬ振りを決め込む政府の姿勢はあまりに無責任だ。
 在日米軍の参戦は、日本が間接的に米国の軍事行動に加担することを意味する。相手国からの反撃の標的になり得るということだ。アジアで有事が起きた場合にも当てはまる。政府は弁を弄(ろう)してごまかし続けてはならない。
 在日米軍基地は、日本の主権が及ばない米国の領地ではない。日米安全保障条約に基づき、日本が使用を認めている。事前協議は、両政府が安保条約に基づいて公式文書を交わし、米軍の配置や装備の重要な変更と並び、日本国内からの戦闘作戦行動をその対象とすることを確認している。
 また、安保条約は「日本と極東の平和・安全」を図るために米軍基地を使用すると定める。在日米軍を中東に送ること自体、条約からの逸脱の既成事実化だ。
 しかし、茂木敏充外相は国会の答弁で、在日米軍の派遣について明言を避け、一般論として、基地使用に関する事前協議は行われていないと述べたにとどまる。政府はこれまでも「部隊の移動は対象にならない」「米軍の運用に口を挟めない」などと、協議を避けようとする発言を重ねてきた。
 挙げ句、1960年の安保条約改定時に設けた事前協議の制度は生かされることがないまま、米軍は何の制約も受けずに基地を使い続けている。1991年の湾岸戦争や2003年のイラク戦争に在日米軍を送った際にも、事前協議は行われなかった。
 米国とイスラエルによるイランへの先制攻撃は国連憲章に明らかに反する。自衛として正当化できる余地がない武力行使だ。地上作戦によってさらに戦火が広がり、収拾不能の事態に陥るのを何としても止めなければならない。
 スペインのサンチェス首相は、一方的な軍事行動を拒絶すると述べ、国内の基地の使用を認めないことを言明している。日本政府はこの上なお米国に追随し、米軍の行動を黙認し続けるのか。米政府に事前協議を求め、イランへの攻撃に在日米軍基地を使わないよう明確に申し入れるべきだ。

イラン攻撃長期化懸念 始めた側が戦闘停止せよ(2026年3月31日『琉球新報』―「社説」)

 米国とイスラエルがイランを攻撃して1カ月が過ぎた。報復の連鎖が続き、戦火は中東各国に拡大している。エネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態になり、世界経済は大混乱している。世界中が長期化を恐れている。戦争を始めた米国とイスラエルがまず戦闘を停止すべきである。世界の安定を取り戻すために日本は積極的な外交努力を行うべきだ。
 米国は地上作戦を行う構えで、イランは海峡封鎖で世界経済を人質にして、互いに圧力を強めている。パキスタンの仲介で米国とイランが停戦交渉をするという報道もあるが、双方の主張は大きく隔たっている。
 米トランプ大統領の発信は二転三転してまったく信用できない。29日には英紙のインタビューに「望ましいのはイランの石油を奪うことだ」と述べ、資源強奪、侵略の意図をむき出しにした。驚きあきれるしかない。トランプ政権は今や世界の災厄である。
 ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば、日本など中東に石油や天然ガスを頼る国々ではエネルギーや石油製品が枯渇してしまいかねない。供給懸念について高市早苗首相は自身のX(旧ツイッター)で「これまで通りの落ち着いた対応をお願いする」と呼びかけた。プラスチック製品に使うエチレンやナフサなど石油関連製品、医療関連物資についても、安定確保に取り組んでいると強調した。しかし、石油の備蓄放出にも限界があり、長期化すれば深刻になる。日本もさまざまな制限を開始する必要が出てこよう。
 沖縄駐留の米海兵隊第31海兵遠征部隊も中東地域に到着した。在日米軍基地が出撃拠点になることは日本が戦争に間接的に加担することであり、中東でそうなっているように基地は攻撃目標になる。政府は毅(き)然(ぜん)と事前協議を求め、在日基地を使わないよう主張すべきだ。
 米軍が地上作戦に踏み切れば、お互い引くに引けなくなり、泥沼化する。エネルギー危機は世界経済を窒息させる。高市首相は「国益を守る」と強調してきた。今、最大の国益は停戦させることではないか。戦闘をやめるよう各国と協調してトランプ大統領を説得するべきである。
 世界中の紛争や内戦が収まらない中で、2022年2月に始まった大国ロシアのウクライナ侵攻、23年10月に始まったパレスチナ・ガザ地区でのハマスとイスラエルの戦争を私たちは目撃してきた。ウクライナは膠着(こうちゃく)状態が続く。ガザは昨年10月に停戦合意が発効したが、その後もイスラエルの攻撃が続き700人以上が命を奪われている。
 戦争では何も解決できず、いったん始めた戦争は簡単に終わらせられないことを私たちは知っている。破壊と殺(さつ)戮(りく)しかもたらさない戦争を終わらせなければならない。そして戦争をしない、させないことが何よりも大切である。

イラン攻撃1カ月 停戦への説得を続けよ(2026年3月29日『静岡新聞』-「社説」)

 米国・イスラエルがイラン攻撃を始めてから28日で1カ月。トランプ米大統領は攻撃当初、イラン指導体制の転換を唱え、戦闘は4~5週間で終了すると述べていたが、いまだに停戦が見通せない。
 空爆でイラン指導部は殺害され、一般市民も含む2千人近くが犠牲になったと伝えられる。しかし、体制は揺るがない。イランもペルシャ湾岸の米軍基地や産油国の石油関連施設を攻撃して双方の応酬が激しくなるばかりだ。
 イランはエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡を事実上封鎖し、原油を人質にした。このまま戦闘状態が続き、海峡封鎖が解かれないと消費国は干上がってしまう。国際的に孤立しても原油価格を高騰させ、米国に圧力をかけるのがイランの狙いとみられる。
 中東原油の依存度が高いアジア諸国への影響は深刻だ。日本も欧州連合(EU)などと連携を強め、トランプ氏に停戦をはじめとして、早期沈静化を求めて説得を続ける必要がある。傍観していても事態は改善しそうもない。
 停戦に向けて米国は、核開発能力の放棄やホルムズ海峡の開放など15項目の条件を提示した。他方、イランは賠償金の支払いやホルムズ海峡での主権行使の承認と保証など5条件を挙げた。両者の主張は隔たりが大きく、すぐにはまとまりそうもない。それでも停戦交渉開始のきっかけにしていかなくてはならない。
 米国は1カ月前、イランとの核協議の最中に奇襲攻撃に踏み切った。停戦交渉を始めたとしても、中東増派中の米軍強襲揚陸艦などが到着するまでの時間稼ぎという見方があり、安易に信用できまい。自らに都合のよい発言ばかりを繰り返すトランプ氏の真意も読みにくく厄介だ。
 とはいえ、停戦を実現できるのはトランプ氏しかいないだろう。11月に中間選挙を控えるトランプ氏も国内世論の動向は無視できないはずだ。ガソリン価格や諸物価が上昇して国民不満が高まれば、選挙での不利は避けられない。関係各国には説得する努力を諦めてほしくない。しかも米軍地上部隊の投入に拡大すれば、それこそ泥沼化だ。ホルムズ海峡の長期封鎖は絶対に避けなければならない。
 そもそもイラン攻撃に大義はないと指摘されている。他国の首都を攻撃して指導部を殺害するのは国際法違反だろう。イランとの核協議も合意が可能だったとされ、トランプ氏が主張する「差し迫った脅威」に根拠はないという。
 トランプ氏が言及するイランの発電所攻撃は、ウクライナ侵攻で厳冬期に繰り返されるロシアの蛮行と変わりはない。国際社会は法の支配の徹底や、力による現状変更の拒絶を声高に訴えてほしい。

「加害の島」から(2026年3月29日琉球新報『』-「金口木舌」)

 1960年代、沖縄は「悪魔の島」となった。米国がベトナム戦争に本格参戦し、沖縄は出撃拠点と化した。嘉手納基地からB52戦略爆撃機が飛び立った翌日、ベトナムに爆弾が落ちた
▼当時の沖縄の人々は、嘉手納基地と軍病院の間を救急車が頻繁に行き来する様子で戦闘の激しさを理解したという。那覇軍港には地雷で大破した戦車や弾痕が生々しい車両が山積みに。戦地と日常が地続きだった
▼ベトナム戦争の取材を終えて帰省した報道写真家の石川文洋さんは、沖縄の人々の様子を「間接的にせよベトナムの民衆が傷つくことに、自らも傷ついている人が多かった」(岩波新書「フォト・ストーリー/沖縄の70年」)と回顧している
▼湾岸、アフガニスタン、イラクと、米国が戦争へと突入するたび、沖縄はいや応なしに加害の片棒を担がされた。今もキャンプ・ハンセンを拠点とする海兵隊の第31海兵遠征部隊が中東へ向かっている
▼自国第一主義で戦火を広げる米国のリーダーと、こびながら追随する日本のリーダー。「加害」に傷ついていないように見えるのは、戦地から最も遠い位置にいるからか。

交戦終結へかじを切れ/イラン攻撃1カ月(2026年3月28日『東奥日報』-「時論」/『山形新聞』ー「社説」/『茨城新聞・山陰中央新報・佐賀新聞』-「論説」)

 米国とイスラエルがイランに対して先制攻撃を仕掛けてから28日で1カ月となった。交戦と対立の影響は、ペルシャ湾岸地域を超え世界の経済や市民生活、安全保障の多方面に及んでおり、これ以上の長期化は許されない。
 米政府が当初描いた短期戦のもくろみは外れ、イラン側の頑強な抵抗によって事態は混迷の度を深めている。トランプ米大統領は、イランの核武装阻止や最高指導者を頂点とするイスラム革命体制の転換など目標を変えてきたが、いずれも達成されたとは言いがたい。
 これまでの死者は中東全体で2千人を超えた。その深刻さは指摘するまでもあるまい。今回の軍事行動はイランと周辺国や世界の石油市場を混乱に陥れ、米兵の命を危険にさらしているだけで、米国にすら何の利益ももたらしていないように見える。
 無謀な攻撃は米国の思惑とは逆に、産油国が集中するペルシャ湾におけるイランの地政学的な優位性を際立たせてしまった。
 イランは、圧倒的航空戦力を誇る米国とイスラエルによって短期間に制空権を失った。しかし短距離・中距離ミサイルや無人機で、イスラエルに加えサウジアラビアなど湾岸産油国の石油関連施設などを攻撃した。
 さらに主要なエネルギー輸送路であるホルムズ海峡での機雷敷設をちらつかせる戦術でタンカーなどの航行を妨害、海峡を事実上の封鎖状態に陥れた。世界のエネルギー供給源を巻き込んだ報復は断固容認できないが、「(交戦終結時期は)イランが決める」と言わしめるまで増長させたのは、やはり米国の見通しの甘さだ。
 一方、エジプトやトルコ、パキスタンなどの努力で、米国とイランによる協議の可能性がようやく浮上したことは、歓迎したい。双方は仲介国を通じた接触に踏み出しており、現時点では米側がイランのウラン濃縮活動停止やホルムズ海峡開放など15項目を要求、イラン側が被害の賠償を含む5条件を突き付けている。
 隔たりは極めて大きいが、事態の影響は石油価格の域を超え、石油関連製品の供給不足が世界中で市民生活を脅かす局面に入っており、交戦終結へ一刻の猶予もないのは明らかだ。仲介国の一層の努力を期待するとともに、いずれの関係国とも良好な外交関係を持つ日本政府には積極関与の機会を模索してほしい。
 懸念されるのは、敵対的なイスラム体制の崩壊を究極の目標とするイスラエルの対応だ。米国の出口戦略をふさぐためのイラン要人暗殺や大規模攻撃に踏み切る恐れがある。だが、突然の体制崩壊はイランを無政府状態化させ、その混乱が湾岸地域全体に波及するのは必至だ。
 既にロシアによるイランへの武器支援が疑われ、石油価格の抑制に苦心した米国は、ウクライナ侵攻を理由とした対ロシア制裁の一部緩和に追い込まれた。イランの攻撃を受けたサウジが参戦を検討する動きを見せるなど、世界の安全保障の土台は一層大きくゆがみ始めている。
 トランプ氏は協議模索の一方で、海兵隊を現地に派遣し、地上戦も辞さない構えも見せるが危険な賭けだ。そもそも国際法違反が明らかな今回の軍事行動の失敗を受け入れ、地域と世界の秩序回復へかじを切る時だ。

イラン攻撃から1カ月 即時停戦で泥沼化回避を(2026年3月28日『毎日新聞』-「社説」)

キャプチャ
空爆で破壊された建物の近くで、行方不明の兄弟が見つかるのを待つ男性=イラン・テヘランで2026年3月21日、ロイター
 米軍とイスラエル軍がイランへの攻撃を始めて1カ月になった。報復の応酬はやまず、ホルムズ海峡の事実上の封鎖で世界経済にも悪影響が広がっている。
 先行きが見通せない状況が続く。パキスタンなど複数国が停戦に向けた仲介に乗り出し、米国、イラン双方が停戦条件を示したとされるが、互いに受け入れ困難な内容である。
 米軍は海兵隊など数千人規模の追加部隊を中東に展開させる動きを見せる。トランプ米大統領の言行不一致ぶりにイランの不信は深まる一方だ。泥沼化を避けるためにも、双方が即時に攻撃を停止しなければならない。
 民間人の犠牲が膨らんでいる。イランでは小学校がミサイルの直撃を受け、女子児童ら約170人が死亡する事態も起きた。イスラエル側でも市民に死傷者が出た。
 エネルギー関連施設の被害も相次ぐ。イスラエルはイラン南部の天然ガス田を爆撃し、イラン側はアラブ湾岸諸国のガス田などを攻撃した。世界経済を人質にするようなやり方は許されない。
 看過できないのは、イランとイスラエルの核関連施設近くにも攻撃が及んだ点だ。放射性物質が漏れた場合、周辺地域も深刻な被害を受ける。
 イランでは最高指導者アリ・ハメネイ師が殺害されたのに続き、最高安全保障委員会の事務局長や情報相が死亡した。体制弱体化を狙った攻撃と考えられるが、最高指導者に就任したモジタバ・ハメネイ師が徹底抗戦を呼び掛けるなど、強硬派を勢いづかせている。
 イスラエルは隣国レバノンへも攻撃を繰り返す。イランの支援を受けるイスラム教シーア派組織ヒズボラの壊滅が目的と説明するが、医療施設なども攻撃され、犠牲者は1000人を超えた。これ以上戦線を拡大してはならない。
 イラン攻撃を仕掛けた米国とイスラエルの国際法違反は明らかだ。にもかかわらず国連安全保障理事会は、イランによる湾岸諸国への攻撃を非難する決議案を採択したにとどまる。
 日本は伝統的にイランと友好関係を維持している。エネルギー安定供給の点で中東は重要な地域だ。停戦に向けた仲介努力をすべきである。

米イランは戦闘終結へ真剣な対話を(2026年3月28日『日本経済新聞』-「社説」)

キャプチャ
イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖で原油価格は急騰した11日、(UAE沖の貨物船)=ロイター
 トランプ米大統領がイランと停戦に向け協議していると述べた。真剣な対話で戦火の拡大を止める時だ。中東を揺るがし、世界経済を混乱させる戦闘を一日も早く終わらせなければならない。
 米国とイスラエルがイランを先制攻撃して始まった戦闘は28日で1カ月。イランはエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡を事実上封鎖し、周辺アラブ産油国の石油・ガス生産施設に反撃した。
 原油価格は急騰し、日本など国際エネルギー機関(IEA)加盟国は備蓄の協調放出を迫られた。石油化学製品や天然ガス、肥料も供給が滞り、物価高が懸念される。経済協力開発機構(OECD)は今年の20カ国・地域(G20)のインフレ率を4%とし、前回予測から1.2ポイント引き上げた。
 交戦の当事国は、世界に大きな負担を強いていることを自覚すべきだ。国際法上の根拠を欠く攻撃で出口の見えない戦闘を始めた米イスラエルの浅慮にはあきれる。エネルギー供給を人質にとるイランの挙も許されない。
 パキスタンが仲介する交渉で、米国はホルムズ海峡の開放や、核開発をしない確約などを求める15項目の計画を示したという。イランは海峡での主権を認めるよう求め、戦闘再発防止の確約も条件とした。隔たりは大きい。
 トランプ政権が並行して米軍を中東に増派しているのが気がかりだ。強襲揚陸艦と海兵隊部隊を送り、空挺(くうてい)部隊も派遣すると報じられた。交渉は時間稼ぎとの見方がくすぶる。
 これには既視感がある。2月にも米国はイランと核問題を巡る高官協議の傍ら、空母打撃群を中東に展開し、結局は戦端を開いた。交渉のさなかの不意打ちを繰り返せば、解決は遠のく。
 地上戦は泥沼化と犠牲の拡大を招く。避けるべきだ。既にイランで1900人が死亡したと伝えられ、周辺のアラブ諸国やイスラエルでも複数が犠牲になっている。
 イスラエルはイランの要人殺害で体制転換を狙い、米国と目的のズレが目立つ。パレスチナやレバノンで重ねたような過剰な武力行使は許されない。米国にはイスラエルに自制を迫る責務がある。
 日本はエネルギーや石化製品などの供給不安を抑えるとともに、緊張緩和へバランスの取れた外交努力を尽くしてほしい。全当事国と関係を保つ国ならではの建設的な役割が期待される。

イラン攻撃から1カ月 無法な戦争即刻やめよ(2026年3月28日『東京新聞』-「社説」)

 米国とイスラエルによるイランへの奇襲攻撃から1カ月。
 戦況は短期決戦という米・イスラエル両政権の見立てに反し「もし米国が戦争を始めれば、今回は地域戦争になる」というイラン前最高指導者ハメネイ師(空爆で死亡)が警告した通りの展開だ。
 これまでにイランでは約1900人、湾岸周辺国で80人以上、イスラエルで十数人が死亡。飛び火したレバノンでも親イラン民兵組織ヒズボラとイスラエル軍の交戦で千人余が犠牲になっている。
 イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖や、湾岸諸国の民間施設や石油関連施設に対する攻撃で原油価格は高騰し、世界経済を混乱に陥れている。
 非軍事施設へのイランの攻撃は自衛目的でも正当化できないが、核交渉の最中に宣戦布告もなく、最高指導者を殺害した米・イスラエルの攻撃は到底認められない。
 トランプ米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相には、国連憲章や国際法に違反する無法な戦争を直ちにやめるよう求める。
◆「体制転換」を巡る誤算
 米・イスラエルの攻撃は無法のみならず無謀の産物だ。まずイランの反撃能力を甘く見ていた。
 イランは「目には目を」という「同害報復」が基本戦略だ。経済制裁が長く続き、防空能力は欠けるものの、それを補う抑止力として投入され始めた新型ミサイルがイスラエルの防空システムを回避し、同国南部の核施設周辺にも着弾。米軍基地のある湾岸諸国にも反撃を加えている。
 米・イスラエルの狙いはイランの体制転換だが、民衆蜂起は起きず、政府に不満を抱く国民にも反米感情と結束を促してしまった。イランの支配体制は軍事のみならず、国内総生産(GDP)の約4割を握るとされる革命防衛隊を中核に機能している。「斬首作戦」では体制は容易に倒れない。
 経済的苦境による昨年末からのデモでは、弾圧で約3千人が命を落とすなど、イラン現体制による人権侵害は看過できないものの、反政府勢力の中核となるべき中間層を長期の経済制裁で疲弊させたことは誤算ではなかったか。
 イランではイスラム法学者による統治体制を巡り、民意をどこまで反映させるかを軸に改革が争われてきたが、現在は革命防衛隊が支える保守強硬派が権力を握る。
 それでも故ハメネイ師は革命防衛隊の専横を抑え、爆殺された最高安全保障委員会のラリジャニ前事務局長には柔軟さがあった。だが、後継の最高指導者で故ハメネイ師の次男、モジタバ師は革命防衛隊の「代理人」にすぎず、改革の可能性は一段と遠のいた。
 攻撃に巻き込まれ、米国による防衛神話が崩れた湾岸諸国は対米不信を募らせている。これらの国は米軍が撤退してもイランと向き合い続けなければならず、防衛戦略の再考を迫られるだろう。
 残る疑問は、米国がなぜイラン攻撃を決断したのかだ。
 トランプ政権は「切迫した核の脅威の除去」を理由に挙げたが、辞任した国家テロ対策センター所長らは脅威を否定。攻撃直前の核交渉を仲介したオマーン外相は「イランの譲歩で画期的な進展があった」と証言している。
◆根底にパレスチナ紛争
 パレスチナ解放を国是とするイランを最大の脅威とみなすイスラエルに引き込まれたのが実態だろう。親イスラエル右派のキリスト教福音派はトランプ政権の有力な支持母体で、トランプ大統領自身「(イラン新体制は)民主化されなくても米国とイスラエルに友好的ならばよい」と語っている。
 イスラエルは国際法を無視し、パレスチナ自治区ガザでの攻撃やヨルダン川西岸での入植地拡大を続ける。パレスチナ紛争を公正に解決しなければ、イランとイスラエルとの火種はくすぶり続けることを国際社会は認識すべきだ。
 日本は米国、イラン双方と友好関係を持つ。1953年に英国主導の禁輸下にあったイラン産原油を買い付けた「日章丸事件」や、80年代のイラン・イラク戦争での仲介などがその礎を築いた。
 イランのアラグチ外相がホルムズ海峡での「日本関連船舶の通過を認める用意がある」と発言したことは友好の意思表示であり、仲介外交への期待だろう。
 トランプ氏も泥沼からの出口戦略を求めており、日本政府は米イラン両国とのパイプを生かして戦争終結を主導すべきだ。崩れつつある「法の支配」に基づく外交的手腕が試される局面である。 

イラン攻撃1カ月 まず停戦して交渉進めよ(2026年3月28日『信濃毎日新聞』-「社説」)

 高い要求を掲げず、交戦終結を最優先にするべきだ。
 米国とイスラエルのイラン攻撃である。きょうで交戦開始から1カ月となった。
 トランプ米大統領は、イランの発電所とエネルギー施設への攻撃を警告。その後、2度にわたって攻撃開始を延期し、停戦に向けた協議入りを模索している。新たな期限は日本時間の4月7日だ。
 米側は交戦終結に向けた15項目の条件をイランに提示した。内容は核施設3カ所の解体やウラン濃縮活動の停止、封鎖状態のホルムズ海峡の開放などが含まれる。
 これに対し、イラン側は侵略と暗殺の完全停止や被害の賠償、ホルムズ海峡でのイランの主権行使など5項目を示している。
 イランは核兵器保有の意思は否定しているものの、核兵器級に近づく高濃縮ウランの製造を加速させた。核拡散防止や中東の安定のためにも核開発は認められない。
 ただし、米側の要求にはミサイルの保有数や射程の制限なども含まれる。要求の水準が高い上、これまでの交渉の経緯から米側に対する不信感が根強い。
 米国とイスラエルの攻撃は国際法違反であり、米側が警告した発電所やエネルギー施設への攻撃も同様だ。さらに数千人規模の空挺師団や、陸上兵力を上陸させるための強襲揚陸艦を派遣している。攻撃激化の構えを示し強引に要求受け入れを迫るだけでは、イラン側の姿勢が硬化するだけだろう。
 米国が攻撃した目的も二転三転しており、イランの体制転換を目指すイスラエルに米国が引きずられ、政権が暴走した疑念が拭えない。米国とイランが核問題を巡る高官協議を進めている中、不意打ちに近い形で攻撃を始めたことも見過ごしてはならない。
 米側は交戦終結に向けた会合を早期に開くことを調整しているとされる。イラン側は攻撃を受けている中での交渉は非現実的として交渉入りに消極的だ。まず長期間の停戦をした上で、交戦終結に向けた交渉を進めるべきだ。
 イランは攻撃の報復として湾岸諸国を攻撃し、被害が拡大する一方だ。ホルムズ海峡の事実上の封鎖は各国のエネルギー需給と経済に多大な悪影響を与える。湾岸諸国が耐えきれず参戦すれば、さらに泥沼化する。
 米国もガソリン価格が高騰し、既に11月の中間選挙の結果を左右する事態になっている。交戦の継続は限界に来ている。一刻も早く停戦し、交戦の終結を目指すべきである。

イラン攻撃 暴走と混迷に終止符を(2026年3月27日『北海道新聞』-「社説」)

 あすで開戦から1カ月となる米国とイスラエルのイラン攻撃は国連憲章が定める領土保全と主権を侵害するばかりか、根拠や正当性が極めて疑わしい。速やかに攻撃を中止し、外交による解決を図るべきだ。
 トランプ米大統領は核開発放棄など15項目の停戦条件を示したと主張するが、終戦の保証などイラン側の要求とは隔たりが大きい。作戦の時間稼ぎや支持率の回復狙いでは困る。
 イラン側のトランプ氏に対する不信感は根深い。1次政権で核開発を巡る合意を一方的に離脱し、今年2月には核問題の協議中に奇襲をかけた。イスラエル偏重の姿勢を正すのが先だ。
 攻撃の応酬とホルムズ海峡の情勢悪化による原油高は世界経済と生活に深刻な影響を与えている。イランでは児童ら約1500人が死亡した。人道にもとる蛮行の停止と長期化の回避が急務だ。国際社会はその後押しに尽力しなければならない。
 トランプ氏は当初、イランの核開発などを攻撃の理由に挙げたが、米国家情報長官は昨年6月の攻撃でイランの核濃縮計画は壊滅したと証言した。
 イランの脅威を否定し、辞意を表明したテロ対策センターのトップは「イスラエルの圧力があった」と主張した。攻撃目的の迷走ぶりが目に余る。
 2月の米国とイランの核協議を仲介したオマーンのバドル外相は英誌エコノミストで「合意は間近に見えた」と明かした。攻撃ありきのだまし討ちだったとのそしりは免れまい。
 米国防総省はイラン攻撃の戦費として2千億ドル(約31兆9600億円)以上の追加予算案を大統領官邸に提案したと報じられた。兵たんの甘い見通しと場当たり戦略が泥沼化を招く。
 トランプ氏は宣戦布告の権限を有する連邦議会の承認も得ておらず、国連決議や同盟国への説明もない。西半球重視の国家安保戦略との矛盾も甚だしい。
 そもそもトランプ氏は2024年の大統領選で戦争を終わらせると約束したはずだ。これでは戦争を忌避する岩盤支持層の離反を招くだろう。
 米国では性的人身売買疑惑事件の影響が政権にも広がり、高関税政策への反発も高まる。イスラエルでは首相の汚職疑惑の追及が本格化している。いずれも今年は重要な選挙を控える。
 イラン攻撃やイスラエルによる周辺国・地域への攻撃は法の支配に反する。国際社会での孤立は必至だ。最高指導者殺害や戦争犯罪の疑いもある学校や病院への攻撃の前に国内の懸案に向き合うべきではないか。

レバノンへの侵攻 イスラエルを黙認するな(2026年3月27日『信濃毎日新聞』-「社説」)

 「限定的な作戦」どころか、占領と併合の意図があからさまだ。レバノンへのイスラエルの侵略行為をやめさせなければならない。
 イランへの攻撃を続ける陰で、イスラエル軍がレバノンでの戦線を広げている。親イランの武装組織ヒズボラの脅威を排除するとして、南部リタニ川以南の全域を制圧する構えだ。
 レバノン全土の1割近くを占める地域である。カッツ国防相は軍幹部との会合で、一帯を支配下に置く方針を示した。ヒズボラの武器庫や輸送路の橋だけでなく、住宅を破壊して住民を追い払い、軍が展開するという。
 軍事占領下に置いた後、入植地(ユダヤ人の居住区)を建設する動きがある。パレスチナの占領地で続ける入植を、隣国のレバノンにも広げ、領土を奪うに等しい。入植政策を担うスモトリッチ財務相は、リタニ川が「新たな国境」だと臆面もなく述べている。
 レバノンの主権を顧みない暴挙であることはもとより、住民への集団懲罰や追放を禁じた国際人道法に明らかに反する行為だ。制動を失ったイスラエルの思うがままにさせてはならない。各国は言葉で非難するだけでなく、具体的な行動を取る必要がある。
 イスラエルがガザへの攻撃を始めて以降、激化したヒズボラとの交戦は、いったん停戦に合意したものの収まっていなかった。米国とともにイランを先制攻撃した今回、イスラエルはヒズボラへの軍事作戦を並行して展開し、再び地上侵攻した。レバノンの死者は既に千人を超え、100万人余が避難を強いられている。
 米国のトランプ政権がイランとの交渉による交戦終結に傾く姿勢もうかがわせる一方、イスラエルはイランの体制転換に固執し、攻撃を続ける構えを崩していない。協議のための一時的な停戦さえ警戒しているという。
 背後に見えるのは、対立する国や勢力をこの機会に徹底してたたきつぶし、中東の覇権を握ろうとするイスラエルのもくろみだ。国際法に反する行動をいとわない軍事国家がさらに強大化する危うさがあらわになっている。
 半世紀余に及ぶパレスチナの占領も、ガザでのジェノサイド(集団虐殺)も世界が黙認し、責任を問わずにきたことがイスラエルの増長につながっている。日本を含め各国は態度を改めるべきだ。武器取引をやめることはもちろん、経済制裁や外交関係の断絶を含めた厳しい措置に踏み込むことをためらってはならない。

米のイラン攻撃/双方歩み寄り拡大防止を(2026年3月28日『神戸新聞』-「社説」)

 米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始してきょうで1カ月になる。米トランプ政権は当初、早期終結を目指したが、イラン側の頑強な抵抗で軌道修正を余儀なくされた。交戦終結に向け第三国で高官協議を模索するが、双方が有利な条件を突き付け合い事態打開は見通せない。
 米国は中東の米軍を増派し、重要な石油拠点であるイラン・カーグ島への上陸を検討しているとされる。地上戦が始まれば戦闘の長期化は避けられず、多数の民間人が犠牲になる。イラン側も周辺諸国への攻撃を激化させ、石油輸送の要衝ホルムズ海峡を完全封鎖する構えだ。双方が歩み寄り、一刻も早く停戦を実現させなければならない。
 米国は仲介国パキスタンを介し、1カ月の停戦を含む15項目をイラン側に提示したと報じられた。既存の核能力の解体やミサイル保有数と射程の制限、親イラン武装戦力への支援停止などの見返りに、経済制裁を解除する内容とされる。
 米側は不調に終わった場合は発電所やエネルギー施設を攻撃すると予告し、2度にわたって期限を延長した。しかし、イラン側が全面的に受け入れる可能性は極めて低い。
 トランプ氏は対イラン戦の勝利を宣言し、目的や計画があいまいなまま攻撃を強行したとの批判をかわす狙いとみられる。だが、強硬姿勢は報復の拡大を招きかねない。国際法違反が強く疑われる攻撃に各国が厳しい視線を向ける現実を直視し、戦闘による人的、経済的損失を早急に回避してもらいたい。
 一方、イラン側は「侵略と暗殺」の完全停止や被害の賠償、交戦を再開しないと保証する仕組みなど五つの条件を米側に示し、全ての受諾を求めたと現地メディアが報じた。こちらも戦勝を前提にした内容だが、世界経済を人質に交渉を有利に進めようとする態度は許されない。
 国際社会はイスラエルへも自制を強く求めるべきだ。ネタニヤフ政権は対立するイランの体制転換を狙い、高官や官公庁を狙った空爆を激化させているが、実現は見通せず、指導者の殺害は強硬派の台頭を招くリスクもある。戦闘の長期化を望むような振る舞いは見過ごせない。
 イスラエル軍が親イラン民兵組織ヒズボラを掃討するためレバノンに地上侵攻し、多くの民間人を巻き込む惨状も止めなければならない。
 高市早苗首相はワシントンで開かれたトランプ氏との首脳会談で、ホルムズ海峡の安全確保への「貢献」を求められた。交戦中の艦船派遣は法的に不可能だとの立場をあらためて表明した上で、国際社会と連携して双方への停戦圧力を強め、平和国家としての役割を果たすべきだ。

イラン攻撃1カ月 戦闘終結の道を探らねば(2026年3月28日『山陽新聞』-「社説」)

 米国とイスラエルがイランを攻撃して1カ月となった。米国側が望んでいた親米政権への転換は実現せず、イランの報復は周辺国に広がっている。ホルムズ海峡を経由する原油の輸送が滞り、世界的なエネルギー危機も生じている。一刻も早く戦闘終結の道を探らねばならず、日本も外交努力が求められる。
 昨年6月の軍事作戦では、米国側がイランの核施設を空爆し、12日間で停戦に至った。今回は核施設に加え、軍司令部や防空網など多数の拠点を攻撃し、最高指導者ハメネイ師を殺害した。トランプ米大統領は当初、4、5週間で作戦を終わらせる見通しを示し、イラン国民に体制転換へ蜂起を呼びかけていた。
 だが、事態はもくろみ通りに進んでいない。イランは周辺国にある米軍駐留基地やエネルギー関連施設に対し、ミサイルや無人機による攻撃を繰り返した。ハメネイ師の後継には、次男のモジタバ師が選ばれた。体制が崩壊する兆しは乏しく、反米強硬姿勢に変化は見られない。
 さらにイランは、ホルムズ海峡周辺でタンカーを攻撃し、航行を事実上封じている。原油価格を押し上げることで、トランプ政権を揺さぶろうとしているのだろう。だが、いかなる名目であれ、民間船舶の航行を妨げて世界経済を危機に陥れる行為は正当化できない。国際的な孤立を深める自滅的な戦略と言わざるを得ない。
 一方、米国側の戦略にも疑問が多い。イランとの核協議のさなかで先制攻撃に踏み切った理由として、トランプ氏は長距離ミサイルなどの「差し迫った脅威」を挙げたが、自国の情報当局の分析と異なり、説得力に欠ける。体制転換に言及していた作戦の目的も二転三転している。明確なシナリオがないまま攻撃に及んだのではないか、との批判は強い。
 戦闘に伴う死者は増加を続けており、軍関係者だけでなく、イランの小学生や湾岸諸国の民間人も犠牲になっている。これ以上被害を広げないためにも、米国側、イラン側とも停戦に向けて歩み寄るべきである。
 日本は原油輸入の9割超を中東に依存しており、今回の危機でその脆弱(ぜいじゃく)性が浮き彫りになった。混乱が長期化すれば、企業活動や家計への打撃は計り知れない。政府は国際機関と協調して石油備蓄を放出したほか、先進7カ国(G7)とともにイランによるエネルギー施設などへの攻撃を非難する声明を出した。ガソリン価格を抑える補助金を再開し、原油の代替調達先の検討も進めている。あらゆる手段を尽くして、影響を最小限に抑えねばならない。
 日本は米国と同盟関係にあると同時に、イランとも長年にわたって友好関係を築いてきた。双方と対話ができる立場を生かし、事態の沈静化に向けて働きかけを強めていくべきだ。

イラン攻撃1カ月 一刻も早い戦闘終結を(2026年3月28日『中国新聞』-「社説」)

 米国とイスラエルがイランに先制攻撃を仕掛けて1カ月になった。イランは、イスラエルやペルシャ湾岸諸国の米軍基地などに報復し、ホルムズ海峡を事実上封鎖した。
 子どもを含む多くの市民の命と安全が脅かされているだけでなく、世界経済や安全保障が深刻な打撃を受けている。武力では何も解決せず、むしろ事態を深刻化させることが、ますます明らかになっているといえよう。
 これまでの死者は中東一帯で3千人を超えた。米国とイスラエルはまず攻撃をやめるべきだ。一刻も早く戦闘を終わらせなくてはならない。
 交戦の終結に向け、米国は早期の交渉入りを模索している。トランプ米大統領はイランの発電所への軍事攻撃を4月6日まで停止すると交流サイト(SNS)で表明した。だが先行きは不透明だ。
 米メディアによると、米側は核施設3カ所の解体やウラン濃縮活動停止、ホルムズ海峡開放などの15項目を要求。イラン国営メディアは、イランが米国の要求に対し、攻撃・暗殺の完全停止や賠償金の支払いなど5条件を提示したと報じている。双方が互いの要求を直ちに受け入れるのは難しいだろう。だが、このままでは状況は悪化するばかりだ。要求を通じた交渉が戦闘停止につながることを望む。
 心配なのは、米軍が追加の艦船や部隊を中東へ送っていることだ。発電所への攻撃延期は米軍の戦力が整うまでの時間稼ぎではとの見方もある。イランの疑心暗鬼を深めるだけではないか。
 この1カ月、トランプ氏の言動は揺れている。当初「作戦は数日間」として体制転換を視野に、イラン国民に蜂起を呼びかけたが、思惑通りに進んでいない。世界のエネルギー供給源を巻き込んだイランによる報復は容認できないが、米国とイスラエルによる無謀な攻撃はむしろイランを増長させていないだろうか。
 11月に中間選挙を控え、トランプ氏には手詰まり状態への焦りもあるのだろう。だがそもそも国際法違反が明らかな軍事行動で、多くの人命を危険にさらし、世界の石油市場を混乱させている現状を重く受け止めるべきだ。
 そんな中、トルコやパキスタンなどの仲介で米国とイランによる協議の可能性が見えてきたことは、歓迎したい。
 気がかりはイスラエルのネタニヤフ首相だ。ここにきてイランの兵器産業を可能な限り破壊するよう命じた。イランの不信感は高まり、戦闘停止は遠ざかるばかりだ。
 事態の影響は、世界中で市民生活を脅かす局面に来ている。国際社会は解決に向け、あらゆる努力をせねばならない。いずれの関係国とも良好な外交関係を持つ日本政府の積極関与も求めたい。

イラン攻撃1カ月 泥沼化させてはならない(2026年3月27日『新潟日報』-「社説」)

 民間人の犠牲や世界経済への打撃は深刻の度を増している。泥沼化を避けるため、当事国による協議を早期に実現させたい。
 米国とイスラエルがイランを攻撃してから28日で1カ月となる。イランはイスラエルやペルシャ湾岸諸国の米軍基地などに報復し、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡を事実上封鎖した。
 イランでは最高指導者ハメネイ師ら幹部が次々に殺害され、子どもの犠牲者も出ている。後継者のモジタバ師は徹底抗戦を訴えており、態度軟化は見通せない。
 米イスラエルが反米路線からの体制転換を追求すれば、長期戦の恐れもある。戦闘のさらなる激化を憂慮せざるを得ない。
 米紙はトランプ政権がイランに対し、交戦終結に向けて15項目の計画を提示したと報じた。核施設の解体やウラン濃縮活動の停止、ホルムズ海峡の開放などという。
 イラン国営放送局は、イランが米国の要求に対し、逆に条件として攻撃・暗殺の完全停止や賠償金の支払いなど5項目を提示したと報道した。
 双方とも相手の条件を全て受け入れるのは困難とみられるが、米国が近く交戦終結に向けた会合を開催する方向で調整するとの米報道もある。条件の提示が停戦への糸口となるよう期待したい。
 中東の仲介国だったカタールやオマーンがイランの攻撃を受けて役割を果たせない中、急浮上したのがパキスタンだ。イランと友好関係を保つ一方、米国との結び付きも強めてきた。その立ち位置を仲介外交に生かしてほしい。
 国連人権理事会は中東情勢を巡る会合を開き、イランによる近隣諸国への攻撃を非難する決議案を採択した。
 会合は湾岸諸国などの要請で開かれ、決議は米国などによる攻撃に触れていないが、ターク人権高等弁務官は全ての当事者に国際法の順守を要請した。戦争を止める覚悟が国際社会に問われている。
 気がかりなのは、米国が戦力の増強を続けていることである。
 米メディアによると、陸軍部隊が新たに派遣を命じられた。ホルムズ海峡の航行を確保したり、イランの島々などを掌握したりする作戦に投入される可能性がある。
 イスラエルのネタニヤフ首相は、イランの兵器産業を可能な限り破壊するよう命じたという。
 攻撃の強化をちらつかせては、イランの警戒感を高め、協議の実現が遠ざかる。自制を求めたい。
 中東情勢の緊迫化による日本への悪影響が顕在化している。
 ホルムズ海峡経由で到着するタンカーは激減し、ガソリンやナフサなどが調達難に陥っている。
 政府は26日、石油の国家備蓄の放出を始めた。民間備蓄と合わせると、国内消費の45日分となる。
 供給不安を緩和するには、調達先の多角化を急がねばならない。

【中東情勢】停戦への道筋を描け(2026年3月27日『高知新聞』-「社説」)

 中東情勢は停戦に向けた駆け引きが続いている。協議の進展は曲折が予想されるが、対話での解決を目指す動きを強めることが重要だ。
 トランプ米政権がイランに交戦終結に向けて15項目の計画を提示した。イランは拒否し、逆に攻撃・暗殺の完全停止や賠償金の支払いなど5項目を提示したと伝えられる。
 トランプ大統領は先に、封鎖状態にあるホルムズ海峡を48時間以内に開放するよう求めてイランに発電所攻撃を突きつけたが、5日間の延期指示へと転じた。イランの徹底抗戦の姿勢とともに、仲介を探る近隣諸国の外交努力への期待があったとの見方が出ている。ガソリン価格が高騰し、強まる市民の不満が11月の中間選挙に影響することを警戒したとされる。
 提示した15項目は、核施設3カ所の解体やウラン濃縮活動の停止、ホルムズ海峡の開放、親イラン勢力への支援停止などを盛る。見返りとして対イラン制裁の解除や、民生用原発支援を入れ軟化を狙う。
 これらを仲介国から提示されたとするイランは、過度な要求だと判断したとされる。米側は交渉は続いていると説明し、双方の主張は食い違っている。
 イランは自らが掲げた5項目の提案が受け入れられることが停戦の前提と位置付け、それまでは交渉は行わない方針のようだ。イランの対米不信は根強く、厳しい条件を設定して米側をけん制する。
 米側は停戦条件を提示する一方で戦力の増強を続けている。米陸軍空挺(くうてい)部隊に中東派遣を命令した。陸上兵力を上陸させるための艦隊は近く中東海域に到着するとみられる。イラン国内に投入される可能性があり、主要な石油積み出し拠点カーグ島の掌握を検討しているとの見方も出ている。
 攻撃の激化で圧力を加えながら交渉の進展を狙う思惑のようだが、イラン側は反発を強めるのは必至だ。攻撃を受ければ近隣諸国の重要インフラを標的にすると警告している。周辺国への報復攻撃が拡大すれば、ペルシャ湾岸の安全保障環境に大きな打撃を与えてしまう。
 イスラエルは攻撃を継続する構えを崩さない。米国がイランと15項目を協議するために停戦することや、交戦が終結に向かうことを警戒しているとされる。
 イランの求める5項目には、親イラン勢力への攻撃停止も含まれる。イスラエルは、親イラン民兵組織ヒズボラの影響力が強いレバノン南部へ、緩衝地帯を広めるとして攻勢を強めている。犠牲者や国内避難民の増加に、反発はアラブ諸国でも広まっている。中東情勢は複雑化の様相を強めている。
 停戦交渉が容易にまとまるとは考えにくいが、まずは停戦して交渉の環境を整えることが必要だ。混乱は世界中に広がっている。トランプ氏の一貫性を欠いた言動に振り回されることが想定されるが、自身の選挙に跳ね返ることを思えば真剣な協議が避けられないはずだ。

イラン1カ月 戦闘終結の機会を逃すな(2026年3月27日『西日本新聞』-「社説」)

 米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始して、28日で1カ月となる。戦火をこれ以上拡大させてはならない。一日も早い停戦を強く求める。
 戦闘長期化の懸念が広がる中、事態収拾を図る動きが出てきた。トランプ米大統領は交戦終結に向けてイランと協議していると述べ、早期の合意に自信を示した。
 米紙によると、トランプ政権は交戦終結へ15項目の計画をイランに提案した。核施設の解体やウラン濃縮の停止、封鎖状態にあるホルムズ海峡の開放などを要求している。
 経済制裁の解除といった見返りも示したが、イランには受け入れ難い内容のようだ。イラン高官は米側の提案を拒否し、攻撃・暗殺の完全停止などを交戦終結の条件に挙げたと報じられている。
 仲介国のパキスタンで、双方の高官協議が模索されている。交渉は難航が予想されるものの、停戦の機運をしぼませてはならない。
 期限を定めて停戦し、その間に和平の条件を協議する方法もある。双方の自制と仲介国の粘り強い働きかけを願うばかりだ。日本をはじめ国際社会も後押ししたい。
 気がかりなのはトランプ氏がイラン情勢に関する発言を二転三転させていることだ。
 トランプ氏はイランとの協議が明らかになる前、イランが48時間以内にホルムズ海峡を開放しなければ多数の発電所を攻撃すると警告した。23日になって5日間延期すると軌道修正したが、攻撃の構えは崩していない。
 米軍は佐世保基地配備の強襲揚陸艦を含む艦隊を中東に向かわせており、近く到着する見通しだ。数千人規模の空挺(くうてい)部隊を派遣するとも伝えられ、地上作戦を開始する可能性が指摘されている。
 相手を脅して要求をのませるトランプ流のディール(取引)かもしれないが、見通しは定かでない。
 そもそも戦闘はイランの核開発問題を協議する中で、米国とイスラエルが不意打ちのようにして始めた。イランにとって、交戦終結の呼びかけは増派が完了するまでの時間稼ぎに見えるだろう。
 1カ月の戦闘でイランへの空爆は9千回を超え、死者は約1500人に上るという。学校への誤爆により、多数の子どもも犠牲になった。
 イランは対抗措置としてホルムズ海峡を事実上封鎖し、湾岸諸国のエネルギー施設を次々に攻撃した。原油高騰を引き起こし、世界経済を混乱させている。
 米国はイスラエルに引きずられて攻撃を始めたとみられる。イスラエルはレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの掃討にも乗り出した。レバノンの死者は千人を超す。
 パレスチナ自治区ガザで、7万人もの命を奪う戦闘を繰り広げたのもイスラエルだ。悲劇を黙認した米国の責任は重い。米国にはイスラエルを抑え、中東を和平に導く極めて重大な責務がある。

首相の中東対応 9条順守の姿勢明確に(2026年3月26日『北海道新聞』-「社説」)

 高市早苗首相は参院予算委員会で、トランプ大統領との日米首脳会談でホルムズ海峡への自衛隊派遣を巡り「法律の範囲内でできることとできないことを詳細に説明した」と述べた。
 会談に同席した茂木敏充外相は「法律には憲法も含まれる」としたが、首相は憲法や9条に言及したかは「外交上のやりとり」を理由に答えなかった。
 憲法9条は武力による国際紛争解決を禁じている。明白な国際法違反である米国とイスラエルによるイラン攻撃に加担するような自衛隊派遣ができないのは当然である。
 首相は立憲主義のもとで9条を順守する姿勢を明確にし、米側に即時停戦を求めるべきだ。
 予算委で、無所属の広田一氏はトランプ氏が日本への要求を強めなかったことについて「9条の存在が大きかったのではないか」と指摘したが、首相は答えなかった。
 ただ、茂木氏は帰国後の民放番組でも、首相が「憲法9条があり、その下でさまざまな事態認定がある。そういうことも含めて制約がある」趣旨を伝えたと明かしている。
 一方、トランプ氏は「日本は憲法上の制約があるが、必要とあれば支援してくれる」と述べており、ウォルツ国連大使も首相が自衛隊による支援を「約束した」と発言している。
 首相は予算委で、現時点での派遣を否定したものの「できること」の中身は説明を避けた。フランスやイタリアなどの主要国はイラン攻撃への協力を拒否している。曖昧な姿勢のままでは米国の要求を拒みきれなくなる懸念が払拭できない。
 また、首相は停戦後の機雷除去について「状況を見て慎重に判断する」との方針を示した。
 政府は1991年、自衛隊法を根拠にペルシャ湾に海自の掃海艇を派遣した。機雷除去は国際法上、戦時下は武力行使とみなされるが、停戦後は該当しないとされる。ただ偶発的衝突などで交戦状態になりかねず、派遣へのハードルは極めて高い。
 首相は就任後も「自衛隊員の誇りを守る」と語り、9条改憲に意欲を示している。だが大国による力の支配が世界を覆う中で、今回の会談は9条を変えれば戦争参加への歯止めが失われ、巻き込まれる可能性が高まることを浮き彫りにした。
 首相が予算委で憲法への言及を避けたのは、今後の改憲議論に影響を与えかねないと感じているからではないか。
 平和主義の理念に基づき、米国追従一辺倒ではない外交努力を重ねることが日本の役割だ。

緊張高まる中東 対話続け停戦につなげ(2026年3月25日『朝日新聞』-「社説」)

 交渉の途中でだまし討ちのように攻撃する暴挙を繰り返すことは許されない。対話を始めたと主張するなら、粘り強く続け、停戦に結びつけるよう努力すべきだ。
 トランプ米大統領が予告していたイランの発電所への攻撃を5日間延期すると23日に表明した。イランとの間で「協議が順調に進んでいる」と述べ、「主要な点で合意した」とも主張した。
 トランプ氏は先に「イランがホルムズ海峡の封鎖を48時間以内に解除しなければ発電所を破壊する」と警告した。反発するイランは、イスラエルや湾岸諸国への報復措置を明言していた。緊張が和らぐことを望みたい。
 ただ、イラン側は協議が行われていること自体を否定している。2月末に米国がイスラエルと共同でイラン攻撃に踏み切り、最高指導者を殺害したのは、核問題をめぐる間接交渉のさなかだった。
 米軍は、追加の艦船や部隊を中東に向かわせている。戦力が整うまでの時間稼ぎではないかとイラン側が不信を抱いても不思議ではない。
 トランプ氏は言動の振れ幅が大きい。軍事力を誇示し、相手を威嚇する強気の中に、落としどころを探る融和姿勢も交錯している。
 車社会の米国では、ガソリン価格の高騰は政権への不満に直結する。秋に中間選挙を控えるトランプ氏は、原油価格の動向に神経質にならざるを得ない。
 政権の高官が「イランは米国にとって差し迫った脅威ではなかった。戦争を支持できない」として辞任するなど、足元が揺らぎ始めたことも背景にあるだろう。
 気がかりなのは、イランの体制崩壊を掲げて長期戦を辞さないイスラエルの出方だ。イランのガス田を攻撃した際には、トランプ氏が「もうするな」とたしなめ、両者の思惑の違いが露呈した。
 ネタニヤフ首相は、トランプ氏の「対話発言」を受けてビデオ声明を出し、イランとの交渉を認める構えを見せた。着地点を模索するトランプ氏の足を引っ張るようなことはあってはならない。
 すでにイランでは約1500人、湾岸周辺国で80人以上、イスラエルで十数人が死亡した。親イランのイスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエルとの戦闘が激化するレバノンでは1千人が死亡、120万人が家を追われ人道危機が深まっている。
 民間人の犠牲をこれ以上増やさないためにも、国際社会はあらゆるチャンネルで当事国に働きかけ、外交による解決を急がねばならない。

円下落リスクに備えよ/中東危機と日銀(2026年3月24日『東奥日報』-「時論」/『茨城新聞・山陰中央新報・佐賀新聞』-「論説」)

 日銀は政策金利の据え置きを決めた。中東危機による原油高騰で景気に不透明感が広がったためだ。追加利上げの見送りはやむを得ないが、一方で円安や物価上昇といったリスクの兆しがある。様子見を決め込むのでなく、景気が底堅さを保つのなら引き続き金利正常化を進めるべきだ。
 日本経済における目下、最大の焦点は中東原油の調達回復。米国・イスラエルとイラン間の戦闘停止が不可欠で、それが日本のみならず世界経済への打撃回避につながる。日米首脳会談で即時停戦を求めなかった高市早苗首相の外交努力は十分と言えまい。
 中東湾岸エリアで戦闘が本格化して以来、原油価格が急騰。景気不安から世界的に株価が下落するとともに、インフレが再び悪化するとの懸念から金利が上昇するなどの影響が表れている。
 日銀は、これら内外経済へのマイナス作用を見極めるとして政策変更を見送った。当事国間の停戦は見通せず、日銀の判断は理解できる。
 しかし、現在の低い政策金利の継続にはリスクがある。筆頭は円安だ。日銀の2%物価目標を上回るインフレが長期化しながら利上げへの慎重姿勢が変わらないことで、これまでも円安傾向にあった。そこにエネルギー高による貿易赤字の拡大観測が加わり、円が一層下落しかねない状況だ。
 原油高に円安が重なれば上がるのはガソリンなど燃油だけではない。石油関連製品や電気・ガスの価格上昇を通じて食品なども値上げの恐れがある。消費者物価(生鮮食品を除く)の上昇率は、ガソリン減税などの効果で最近は縮小している。だが原油高騰と円安が収まらなければ、再び上げ幅を拡大しよう。
 米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)が先週、利下げを見送ったのはインフレ再燃を警戒したから。欧州中央銀行(ECB)について金融市場は、利上げへかじを切ると見ている。オーストラリアは先週、原油高を受け政策金利の引き上げを決めた。
 日銀による様子見の一方で米欧の金融政策がインフレ抑制へ動けば、円安への圧力は増す。そのリスクの軽視は禁物だ。
 日銀は景気改善と人手不足による賃上げで、2026年度後半から27年度にかけて物価目標がほぼ達成されるとの見通しを示す。その上で、予測通りであれば徐々に利上げしていく方針だ。焦点だった今春闘はトヨタ自動車をはじめ主要企業で満額回答が相次ぎ、3年連続の高賃上げを見込める結果となった。
 現在の政策金利は0.75%で、物価上昇率を考えれば実質はかなりのマイナス金利。この実質金利の低さが円安だけでなく、投資目的で高騰する不動産や株価の背景にある。日銀には金利正常化を通じて、バランスに欠ける経済活動を是正する責任がある。
 植田和男総裁率いる日銀となって来月で3年。異次元緩和をようやく終えたものの、金利正常化の歩みはその後遅々としている。物価高騰に即してもう少し早く利上げを進めていれば、今回のような不測の事態に政策判断を縛られるリスクは低かったはずだ。
 中東危機が長引けば、不況と物価高の併存するスタグフレーションが現実味を帯びる。もしそうなれば、原因の一端は日銀による長年の緩和姿勢と指摘せざるを得まい。

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