ブログを1つ運営している場合も、複数のクライアントサイトを管理している場合も、通常はダッシュボードにログインして投稿やコメントを確認し、トラフィック統計を見たり、プラグインやテーマの更新状況をチェックしたりと、多くの作業が必要になります。サイトの健全性やパフォーマンスに関するあらゆる質問に答えるには、時間がかかります。
しかし今では、Claude、ChatGPT、Cursor といった AI アシスタントに、
「最新の投稿とそのパフォーマンスを教えて」と尋ねるだけで大丈夫です。
数秒後には結果が表示されます。これは、WordPress.com が新たにサポートを開始した Model Context Protocol(MCP) によって実現しています。
これまでの手動作業との違い
AI アシスタントは、すでに多くのクリエイティブや開発のワークフローに組み込まれ、コピーのアイデア出し、コード生成、データ分析などを支援しています。
しかし、WordPress サイトの運用となると、こうしたツールはサイトの詳細情報に直接アクセスできません。公開済みの投稿やトラフィックの動向、アクティブなプラグインの状況などを自動で把握することはできず、最終的にはコピー&ペーストやスプレッドシートのエクスポートといった手間が発生していました。
この「分断」により、AI はアイデアやアドバイスを出すことはできても、実際のサイトデータを活用して有意義な意思決定を助けることはできませんでした。必要だったのは、AI アシスタントが安全に WordPress.com サイトと通信し、コンテンツや統計情報、設定を理解できる仕組みです。
WordPress.com MCP の解放
ここで登場するのが MCP(Model Context Protocol) です。これは、アプリケーションが大規模言語モデル(LLM)に文脈情報を提供するためのオープンスタンダードです。
MCP を使うことで、AI アシスタントが WordPress.com に実際に接続し、サイトのコンテンツ、アナリティクス、設定を直接参照できるようになります。AI ツールから離れることなく、すべての情報を確認できます。
その結果、次のような利点が得られます:
- ワークフローの高速化: ログインや複数サイトの統計確認をスキップして、AI アシスタントに聞くだけ。
- AI と WordPress.com の融合: サイトのコンテンツ、データ、インサイトを一元的に活用。
- 設計段階からのセキュリティ: ローカルにデータを保存せず、いつでも接続・切断を完全に制御可能。
WordPress.com は、デフォルトで OAuth をサポートした初の WordPress ホスティングサービスとして、すべての有料プランサイトを MCP 対応にしました。
お使いの AI アプリ(Claude Desktop、Cursor、VS Code など、MCP 対応の AI アシスタント)を接続するだけで、WordPress.com サイトとまったく新しい形で対話ができます。
現在の MCP 統合では、AI アシスタントにサイトへの「読み取り専用アクセス」を付与します。これにより、安全に情報やインサイトをAIツール内で取得でき、ログインしてデータを手動で取り出す必要がありません。
次のステップとして、「書き込み」アクセスも追加される予定です。これにより、AI アシスタントが見られるだけでなく、操作できる範囲も広がります。

WordPress.com で MCP を始める方法
導入は数分で完了します。WordPress.com アカウントで MCP を有効化すると、バックグラウンドでお気に入りの AI アシスタントとの接続が確立されます。
- WordPress.com アカウントで MCP を有効化。
- 指示に従って AI アプリケーションを設定。
- OAuth インターフェースを通じて認証。
これで準備完了です。AI アシスタントに直接質問するだけで、レポートを開かなくても必要な情報が得られます。
たとえば、次のようなことが可能です:
- 「最新の投稿はどのくらいのパフォーマンスだった?」
→ 複数ページの分析を開かずに、トラフィックインサイトを即座に取得。 - 「全 WordPress.com サイトのヘルスチェックを実行して。ストレージ、パフォーマンス、コンテンツの鮮度など注意が必要なサイトをリスト化し、優先順位付きのアクションプランを作成して。」
→ サイトごとの手動チェックなしで、AI が即座にアクションプランを返します。 - 「全サイトの最近のコメントをまとめて。」
→ 各サイトの会話状況を俯瞰し、共通の質問やニーズを把握。
これらは、MCP が WordPress.com サイトを「AI が読み取れる」状態にする方法のほんの一部です。
利用可能な MCP ツールの一覧とプロンプト例は、開発者向けドキュメントで確認できます。
今日から始めみよう
自分のサイトを理解するために、複数のツールを行き来する必要はもうありません。
MCP を使えば、作業中の AI アシスタントの中で、あなたのサイトについての洞察をすぐに得られます。
OAuth によって安全に保護された接続のもと、WordPress.com サイトをより速く、効率的に管理できる新しい方法です。
WordPress.com の MCP 実装は、現在利用可能な Automattic 製品の中のひとつにすぎません。これらは組み合わせて使うこともできます。
利用可能な MCP サーバーの一覧はこちらからご覧ください。
